フィアット500に限らずですが、寒くなってくる秋から冬場にかけての不具合・トラブルといえば「バッテリー上がり」ですね。
普通にエンジンを始動するだけでもバッテリーに余計な負荷が掛かるので、既に弱ってたりするとポックリと「突然死」することがあります。買ったばかりのバッテリーでも初期不良(すでに内部の状態が悪化してる)はあるので油断できませんし、新しくても充電が不十分な状態が続いていればバッテリーはあがります。
セルを回せてもエンジンを始動させる力がないという状態になると、いよいよバッテリーあがりでエンジンは掛かりません。上の写真のように、全ての警告灯がチカチカ点滅して、最後のエレクトリカルパレードの末にブラックアウトして逝ってしまいます。
はい。体験済みです(笑)
新型フィアット500の最初期モデルはバッテリー対策が甘かったらしく、僕が当時乗ってた2010年製の1.4チャチャチャアズールも新車購入から1年で、ある寒い冬の朝にバッテリーがグッバイ。
電子制御のカタマリな今の自動車。やはりフィアット500もなんだかんだ電装品が多いですし、現行車はスタート&ストップ(アイドリングストップ)も標準装備なので、けっこうイキナリの「バッテリー突然死」を迎えることも多いと聞きます。
ジワジワと、お、バッテリー弱ってきてるかなぁ?と考えてる間もないパターンもありえます。
一般的にバッテリー交換を2~3年に一度と勧められることが多いですが、あながち早いサイクルでもなく、確かにもう1年ねばることも出来なくはないでしょうけど、自覚症状が出始めたら待ったナシ。何時バッテリーあがってもおかしくはないのでヒヤヒヤもんです。
FIATの保証や無料ロードサービスが効いてる期間内ならまだしも、出先や路上で立ち往生してしまう事の方がよっぽど時間もお金も掛かってしまいますから、早めのバッテリー交換は保険みたいなものだと思います。
有料駐車場に停めていて、身動きが取れなくなってしまった…。しかもその駐車場には料金の上限設定が無かった…!!
なーんて話もリアルに聞いたことがあります…
((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
楽天やAmazonで、ちょいと「フィアット500 バッテリー」などのキーワードで検索すればズラリと出てきますし、ショップ側も丁寧に適合表などを記載してくれています。
基本的に、欧州車用のBOCHE(ボッシュ)など規格さえ合っていれば安価なモノでも大丈夫。
ただ、そうは言っても今の現行車種はアイドリングストップ用バッテリー推奨なので、FIAT純正でない社外品であってもIS対応となるとお値段は張りますけどね… (維持費なので致し方なし!) まあ、スタート&ストップを使わないという手もあるので、オーナーさんの考え方ひとつでしょうか。
IS(アイドリングストップ)対応バッテリーについては上記リンクの記事に詳しくまとめました。
■フィアット500のバッテリーあがり兆候・症状
他のクルマと同様ですが始動性が悪化します。単純に、キーを回した時にエンジンの掛かりが遅くなるので、程度の差こそあれ違和感にすぐ気づくと思います。スターターセルが回りにくくなっているため、少し引っかかるような印象で音もキュルキュル…と異音が鳴ります。
あとはヘッドライトが薄暗くなるとか、パワーウィンドウが遅くなるとか、ステアリングが重くなるとか、クルマでは一般的によく言われたバッテリーあがりの兆候でしたが、先述の通り、今の車はそうやってジワリジワリと症状が現れてくる前に動かなくなってしまうことが多いようです。
フィアット500のバッテリー上がり初期の兆候として分かりやすいのは、
スタート&ストップ(アイドリングストップ)が作動しなくなる
これはけっこう分かりやすくて、システム上の制御としてバッテリーに充分な電力がなければアイドリングストップしません。なので、S&Sをオンにしていても全然ISが作動してくれなくなってきたら、バッテリーを疑ってみた方がよいかもしれませんね。オートバックスやイエローハットでも電圧チェックはやってくれます。
ただ、普段スタート&ストップを使っていない方もいますよね。(というか、多くの人がオフにしてるという噂はよく聞く…)
では、フィアット500ならではの初期症状をもう一つ。
乗り込む時のデュアロジックのモーター作動音に違和感
現代版フィアットおなじみのデュアロジックですが、クルマに乗り込むときに運転席側のドアを開けるとキュィィィィ~ンと鳴るアレです。
デュアロジックの油圧を上げてるモーターポンプの作動音なのですが、新型チンクエチェントをはじめPANDAなど日本市場ではデュアロジック車がほとんどなので、きっとFIATオーナーの方々には馴染みのある音ですよね。なので、聞き慣れている分ちょっとした音の変化にも気付くのではないでしょうか?
↑こちらの記事で詳しく書きましたが、デュアロジック自体(モーターやポンプ)の消耗・故障の可能性もありますけど、作動音が長くなったりギクシャクするならバッテリーの不具合も疑ってみるべきでしょう。
エンジン始動する前の「素のバッテリー電力」だけでモーターを起動させるので、ココに兆候は出やすいわけです。いつもより長く感じたり、途切れ途切れだったり、ヘンだと感じたらすぐ行動!
逆に、バッテリーが弱っていて油圧ポンプの作動に支障をきたせばデュアロジック自体に余計な負荷を掛けて消耗を早めることも考えられるので、フィアット乗りとしては特に気をつけたい所です。
■なぜ寒い冬にバッテリーはあがりやすいのか?
車のバッテリーに限ったことではなく、乾電池も低温ではバッテリー性能が落ちますし、最近のトピックスではスマホの充電の減りも冬場は早いです。
電池(バッテリー)全般は、鉛と希硫酸の化学反応で電気を蓄える仕組みなのですが、バッテリー内の電解液の液温が低下することによって化学反応が弱まるので、従来の性能が発揮できなくなるというわけです。
外気温0℃で、約80%くらいのパフォーマンスまで落ちるそうなので、同じだけの電気をまかなうのであれば当然ながら温暖な時季より高負荷になります。それに、寒い冬のクルマであれば暖房エアコンを使う頻度も多いですから、電力消費量も比較的あがりますよね。
さらに言えば、気温が低いほどエンジンオイルをはじめミッションオイルやデュアロジックオイルなど、各部の潤滑油も固くなりますから部品も動きにくく、そもそものエンジン始動における抵抗が増している状態です。冬場はバッテリーにとって悪条件が重なりやすいのです。
なので、寒いとバッテリーが悪くなる(劣化の意味)という事ではなく、元気が出せないときに酷使されると耐えられなくなるというニュアンスでしょうか。寒い日の朝イチとか「バッテリーあがり」しやすいのは、車体ともどもバッテリーも冷え切っているからです。充分な暖気を経て、走りながらエンジンルーム内が暖まれば、バッテリーの液温も上がるのでパフォーマンスは復活します。
ただし、既にバッテリー自体が弱ってヘタりきってしまってる状態、バッテリーが消耗しきって寿命を迎えてる状態に、冬の寒さによる性能低下のダブルパンチ・トリプルパンチをくらうと、ねをあげて「突然死」してしまいます。
■バッテリーがあがってしまったら…どうするの?
ドナドナされた記事でも書きましたが、もう少しこちらで補足しておきましょう。
ちなみに、今でも「みんなのうた」とか小学校の音楽で聞く機会があるのかどうか知りませんが、ご存じない世代の方がいらしたら「ドナドナ」をご拝聴くださいませ。
売られていく仔牛のように「愛車が運ばれていく様」を指すスラング的なあれです。
バッテリー上がりのタイミングなんて当然選べないので、場所や状況にもよりますが… ディーラー車であることを前提とした原則として、まずはお世話になってるFIAT正規ディーラーの担当さんに連絡してロードサービスの手配です。
ディーラー保証がなかったり、サービス加入していないクルマの場合は、自動車保険やJAFへの救援依頼で対処することになります。聞くところによると、JAFレスキュー出動理由の第一位はバッテリートラブルだそうで、真冬となると実に30~40%の割合でバッテリーあがりの救援に駆けつけるそうな。
僕は当時は、正規ディーラー購入の新車1年目だったので、FIAT公式の無料ロードサービスの補償を受けることができました。
ロードサービスの車が到着して、お兄さんがローダーに積み込むために始動してくれます。
ブースターケーブルがあれば救援車からの電力供給で一時的にエンジンを掛けられることもありますが、最悪ショートさせる可能性もあるので、あまり素人としては手を出したくない所です。また、エンジンを切らずに走り続ければイケる気もしてしまうのですが、仮にロードサービスを呼ばずに自力で始動できたとしても、自走は避けた方が無難でしょう。
経験上、フィアット500の電子制御はどこかが悪くなると連鎖的にエラーが出やすくなり、たとえばデュアロジックのギア抜けなんかもそうですが、強制的にニュートラルにされてエンスト状態にされることがあるので危険です。そこからエンジン再始動が出来ないかもしれませんし、そもそも走行中だと後続車の追突など事故につながる恐れがあります。
先述の通り、冷え切ったクルマの朝イチが多いということで、自宅の駐車場で動けなくなるならまだラッキーかも? 出先だったりすると場所や状況によってはヤバイですよね。(ああ、想像したくない…)
ヒトの病気と同じで、早期発見・早期治療こそが最大の対策なのは言うまでもありません。
ちなみに、最近はハイスペックな小型のジャンプスターターがありますよ! 僕も愛車に搭載していますが、コイツはスマホやノートPCの充電にも対応してるので災害時にも役に立ちます♪
■バッテリー上がりをガケっぷちの水際で防ぐ…!
…というか、いよいよ一歩手前の所までバッテリーを追い込んでしまわない事がそもそもの予防なのですが…(苦笑)やむなき事情で来週交換するつもりだったのに今ヤバイ!という時。
ぎりぎりセルが回ってくれる状態が前提ではあります。逆に言えば、ヤバイ時にやってはいけない事。
何度もキーをひねらない!(連続してセルモーターを回さない)
心理的には、エンジン掛からない時ってワラをも掴む思いで、神に祈りながら何度もキーを回してしまうのですが、これをやると最後の一滴の電気まで一瞬で失い完全にブラックアウト(バッテリー上がり)するので自殺行為です。いや、他殺か? 焦る気持ちを抑えて冷静に耐えましょう。
動かざること山の如しです。(レトリックですね笑)
10~15分ほど置いてわずかながらでも特性上の回復を待つか、いっそ気温が上がってくる日中(それが期待できる時季や地域であれば)まで乗るのを諦めて我慢。どうにか条件を少しでも良くした状態で再チャレンジです。
ただし、短いスパンのキュルキュルで掛からなければ、すぐにキーOFFすること。キーを捻りきったままキュキュキュキュキュキュキュキュ…とやってしまうと一発アウトです。
いわゆる『プラグかぶり』は泣きっ面にハチ!
ご存知、エンジンの点火はスパークプラグで電気的に火花を散らして混合気を燃焼させるわけですが(教習所でも学科で勉強ししましたよね)、セルモーターが回らなければプラグは上手くスパークしてくれないので火が点きません。
その状態のまま連続してエンジン始動を試みると、ガソリンでプラグの先端が湿ってしまい、余計に点火しづらくなります。それを『プラグがカブる』と言いますが、ただでさえバッテリー電力が供給できない状況なのに、プラグまでカブるといよいよエンジン始動が絶望的になりますから、やはりここでも「何度もキーをひねらない」ことです。
ガソリンは気化しやすいので、しばらく放置すれば蒸発してカブりが解消する可能性はアリです。(※これも当然ながら、寒い冬季の方が蒸発しにくい)
せっかくエンジンが掛かったのに、さほど走らず止めてしまうのはNG!
かろうじて、すんでの所で何とかエンジンが掛かったのであれば、まずはとにかく充電して最低限のバッテリー電力を確保しなければならいのでエンジンは切らずに回し続けます。
出来ればそのままガソリンスタンドなりカー用品店なり、近いのであればFIAT正規ディーラーやイタフラ系欧州車を扱うガレージに持ち込むのがベターだと思います。もちろんロードサービスが使えれば、それがベストです。
よく、しばらく信号のないバイパスや高速道路を30分から1時間くらい走らせて…というのもセオリーですし、間違ってはいないと思うのですが、自己責任なのでちょっとリスキーですよね。昔のクルマはそれもアリだったのですが、やはり現代のクルマは電子制御に依存する部分があまりに多いので、バッテリーに不安がある状態で運転するのは不具合による事故の可能性を考えると危険と言わざるを得ないのではないでしょうか。
充分に走行させてバッテリー電力を保つのは、普段のメンテナンスとして行うことだと思います。