デュアロジック フィアット500(2007) 良い所/悪い所

デュアロジック運転のコツ|オートマ限定免許で運転できるマニュアル車?フィアット500&パンダ

投稿日:2022-09-08 更新日:

 

Newフィアット500evが日本上陸!

 

フィアットの主力は500(チンクエチェント)とパンダ。売れ行き好調な現代のイタリア車ですが、日本市場では、通常のMTを自動化した2ペダルの『デュアロジック dualogic』を採用しています。

この手の2ペダルMTは、国産車ではあまり馴染みのないものですし、好き嫌いが分かれるのもある程度は仕方ないでしょう。クセはありますからね。

デュアロジック車 フィアット500

日本のドライバーは、いわゆる普通のオートマ車(トルコンAT)に慣れている人が大半なので、同じ感覚で乗ると面食らうかもしれません。運転免許もAT限定の人が今はほとんどだから、マニュアル車の運転経験と知識がないのは事実です。

運転自体はAT限定免許で乗れますが、クルマの中身はMTという代物ですから、教習所で勉強した程度のマニュアル車の仕組み、クラッチとか、そういう知識を持っていた方がデュアロジックは楽しめると思います。ご心配な方はいろいろ読んでみて下さい^^

 

いわゆる普通のオートマティック車は、トルクコンバータ式のATトランスミッションです。一方のフィアット500は、運転区分状はオートマ車に分類されるけど、中身はマニュアル車という代物。

MTトランスミッションの上にデュアロジックという油圧装置が搭載されていて、それがクラッチとギアを操作する仕組みです。セミMTとかセミオートマとかロボットミッションとかいろいろ呼び方はあるらしい。

基本的にデュアロジックのシステムが自動でシフトチェンジしてくれるので、ドライバーが操作するのはアクセルとブレーキの2つのペダルのみ。アクセルとブレーキ、エンジン回転数、速度、シフトレバーの位置、その他たくさんの情報がTCU(トランスミッションコントロールユニット)にインプットされ、そこで最適なギアおよびクラッチの位置をデュアロジックの油圧システムにアウトプットする構造。

●デュアロジック関連記事

人間の代わりにギアチェンジをしてくれるデュアロジック君。彼のクラッチ操作はレベル高いです。下手に人間が操作するより優秀な場合もあります。ただ、呼吸を合わせる必要があるんですよね~…

息が合わないと、二人三脚みたいな感じになって、ときにはギクシャクしてしまう。まあ、そこが面白いと思えるかどうかは好みが分かれるところなんですけど…

デュアロジックの2ペダル

ご覧の通りの2ペダルなので、基本的な運転は一般的なオートマティックと同じです。

ただ、普通のオートマ車(トルコンAT)のように、アクセルを踏み続けるだけではスムーズに運転はできません。また、エンジン始動時のクリープ現象が無いので、踏んでいるブレーキペダルを緩めてもAT車のようにジワリジワリと前進する挙動がなく、最初は違和感かもしれません。

●クリープ現象とは?●

クリープ(creep)、クリーピング(creeping)とは、アクセルペダルを踏むことなく、エンジンがアイドリングの状態で車両が動く現象のことをクリープ現象という。

オートマチック車でエンジンがアイドリング状態にある時、セレクトレバーがP(パーキング)やN(ニュートラル)以外の位置にあると、アクセルを踏まなくても車がゆっくりと動き出す現象。クリープは英語で「ゆっくり進む」「這うように動く」の意。渋滞時や駐車時のスピード調整がしやすい、坂道発進の時に車両が後退しない、といった利点がある。一方で、ドライバーの意思に反して車が動き出すことから、衝突事故が発生しやすいという危険もある。

wikipedia「クリープ現象」

発進時のアクセルの踏み加減が難しいかもしれませんね。最初は。

 

■変速ショックが大きい?

「シフトアップが遅い」「ギクシャクする」これは、デュアロジック側に全面的に頼ろうとすると、そうもいかないのがツライところ。寄り添わないといけません。それを「楽しい!」とか「可愛いやつめ…♪」と思えるかどうか。感情論ですが笑(そんなに至れり尽くせりでない。ツンデレ系。)

デュアロジックがギアを切り替える(クラッチ操作する)変速時に、アクセルを抜く(緩める)ことができればシフトショックは和らげられるし、上手になれば、ほとんどガックンすることなく、コツンくらいでシフトアップすることができてスイスイ進めます。

フィアット500 ツインエア 走行

ちなみにシフトダウンする時は、ブレーキを踏んでスピードが落ちればクルマが自動的にシフトダウンしてくれるので、普通のオートマ車と同じ感覚でOKです。

体感的に慣れてくると、理屈はさほど分からなくても『デュアロジックの運転』は感覚で上達するとは思います。もちろん個人差があって、正直、向いてない人もいるとは思います。そういう意味では、一般的なオートマに慣れきってる人が、急にデュアロジック車を運転することになったら少し危ないかもしれないですね。

納車されても、特にレクチャーもなかったりすると、初乗りは少し怖いかも。(そういうディーラー営業さんにあたると残念ですが…)

 

デュアロジック、めちゃくちゃイイわけじゃないです。よくもまあ、これで日本市場に投入するな…と思ったのは正直なところですし、今でも思ってなくもないですが(笑)まあ、セールス的に成功してるのだから、それはソレ?なのでしょうか。

グランデ プント

とはいえ、この種のギヤボックスは、グランデプントやニューパンダの経験も重ねて、変速プログラムは練られているので秀逸であり、実戦経験も豊富。半日もつきあえば、変速の瞬間がテレパシーのように先読みできるし、右足の加減で好きなギヤを選ぶ「右足シフト」も可能となるでしょう。(一般的なドライバーの感覚では難易度高いとは思いますが)

ニューチンクが出た当初から言われてますが、動き出しが重いんですよね。1速から2速へのシフトチェンジの際のエンジン回転が低すぎる。というか、エンジン回転をあまり「引っ張らない」ので、動き出しの途中でシフトアップされて「つんのめる」感じのクラッチミートの継ぎ目が生じてしまう。

こういう点がMTの知識がないとチンプンカンプンになってしまう。別にマニュアル車を運転できる人の方が優れてるとかそういう話ではなくて、クルマの構造としてMT操作の基本を教習所がはしょってるからイケナイのだけれど(AT限定でも数時間くらいMTの実習も入れればいいのに)

たしかに日本はオートマ車社会。ヨーロッパは現在もマニュアル車ありき。どちらも文化ですから、外国車に乗るなら、そういった面も含めて受け止めるだけの話で、なんで北米市場にはトルコンAT(普通のオートマ)投入してるのに日本はデュアロジックだけなんだよ~!と文句を言っても始まらないです。コストの問題とかいろいろ大人の事情があるのでしょう。郷に従うつもりで、寛容にデュアロジックを受け入れようじゃありませんか。

変速のタイムラグが、ドライバーが意図、予測してないタイミングで、不意にやってくるとギクシャクして時にはイラつくこともあるでしょう。でも、機械と以心伝心に一体化していれば、それは逆に快感になったりします。デュアロジックは、ツボにハマるとすごく楽しいですよね。

つまり『コントロールする楽しさ』がウリの一つであり、自動車にソレを求めない人には不便なクルマとなってしまうかも?と思います。

1.4 16V LOUNGE|フィアット500 1400cc ワインディングや山・峠は得意

例えば、前方に緩い上り坂があるとして、そのまま3速を維持したい状況であっても、クルマ自体は前の道路は見えてないのでシフトアップしてしまう。そうなると、傾斜に差し掛かったあたりでパワー不足になって上りがちとシンドイ。すんなりシフトダウンしてくれればいいけど、あまりそこまでの精度はのぞめないので、自分でシフトダウンする方がてっとり早い。だからMTモードを選択する人が多いみたいですけどね。(そのうちの未来にはデュアロジック車も認識するようになるかもだけど)

つまり、左足のクラッチペダル操作がないだけで、運転自体はMT車の運転とほぼ近いものがあって、アクセルワークが必要なわけです。前方の道路状況とか信号とか、ある程度は予見しながら運転しないと気持ちよく走れない。ドライバーに運転を怠けさせてくれないのがデュアロジックです(苦笑)

逆に言えば、MTモード(マニュアルモード)で、道路状況や信号などもドライバーが先読みしながら「自分で運転してる感」はとても楽しいのです。MTでなくても充分楽しめるという魅力があり、それでいてAT限定免許で乗れるのだから、たとえば他の家族とか同伴してる友達に運転を代わってもらえたりもするので、利便性はたしかにあります。

ただ、いきなり運転しろと言われても、初見の人はけっこう怖いとは思いますが…

 

一部出典:FCAジャパン

-デュアロジック, フィアット500(2007), 良い所/悪い所

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