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日本発売ある?フィアット新EV『トポリーノ』初代チンクエチェント愛称オマージュの電動カー

投稿日:2023-06-01 更新日:

電動化された最新型フィアット&アバルト『500e チンクエチェント・イー』はもちろん気になりますが、きっとルパン三世が大好きな日本人が本当に待ち焦がれてる電気自動車は‥ この『EVトポリーノ』なのでは!?

 

★電動サソリ車★アバルト500e日本発売

最新型なのに最古!? 先祖返りEVトポリーノ

FIATの新しい電気自動車は、まさかの『トポリーノ Topolino』です!

2023年7月に登場(おそらく二代目500の誕生日にあたる7月4日)カテゴリーとしては軽量電動四輪車です。イギリスの雑誌『オート・エクスプレス』のインタビューで、最高経営責任者オリヴィエ・フランソワCEOによって語られたトポリーノ復活ですが、ここに日本でも話題が盛り上がってますね。

丸目ヘッドライトを配したキュートなキャンバストップEVカーを、ルパン三世が新作アニメで乗る日も遠くないかもしれません☆

 

超コンパクト寸法のEVトポリーノ、特有のクラシックな外観がデザイン的にもよく落とし込まれていて魅力を感じます。軽量四輪車として分類され、ヨーロッパの一部の国では15~16歳から運転できるライセンスの規格だそう。

都市型スモールEVとして最適化されたサイズは、全長2.41メートル、車幅1.39メートル。

このコンパクトに収まった小型シティコミューターEVで、最大充電時の航続距離は約75kmとなかなかに走る♪

 

ただ、フェイスは初代Topolinoというよりは、2代目のNuova500(ヌォーバ・チンクエチェント)。おなじみ丸目のヘッドライトは旧車らしい風情を漂わせ、飽きの来ない可愛らしいフロントマスクに思わず微笑まずにはいられません♡

おそらく”TOPOLINO”という車名は、呼称としてのオマージュなのだと思いますが、なかなかファン心理をくすぐるネーミングで攻めてきます(笑)こういうとこ、ほんとに上手い。

詳しくは後述しますが、1936年イタリアで産声をあげた初代フィアット500こと『トッポリーノ』は当時の世界では最小の量産車でした。そして、そのコンセプトを引き継いで、第二次世界大戦後の貧しいイタリア市民の国民車となり世界的大ヒットとなったのが ”Nuova 500”(イタリア語で ”新型フィアット500”)です。

 

ステランティス・グループ内での恩恵を受け、シティコミューターEV車として先行のシトロエン「AMI アミ」オペル「ロックスe」と技術共有されているとのこと。

EVトポリーノもまた「Citroën Ami」「Opel Rocks-e」しかり5.5kWhバッテリー搭載になるかは分かりませんが、前車ではWLTPで75kmの航続距離を確保。自宅や職場などの家庭用コンセントから3.5時間で充電可能とのこと。(イタリア都市部であるミラノ、トリノ、フィレンツェ、ローマ等で施行されている新しい制限に準拠できるよう、最高速度を45km/hから30km/hに下げる可能性もあるらしい。)

 

サイドドアのない2シーター。どことなくゴルフ場のカートを思わせますが、

これは旧車の500 Jolly(ジョリー)を彷彿とさせて面白い。

 

新しいフィアット500EV「トポリーノ」を皮切りに、より多くの人々が生活において電動モビリティに触れやすくなることを期待せずにはいられません。

たとえば、初めての車を探している若者から環境に優しい街の移動手段を求めるファミリー層まで、需要の拡大を見据えたコンセプトは、自動車を一般市民に浸透させるきっかけを模索した20世紀前半のヨーロッパの状況に近いとも言えるでしょう。

魅惑的で時代を超越したレトロ・デザインの新EVの登場ー

イタリア最大の自動車メーカー・ブランドが今後のオール電動化に向けて更なる重要な一歩を踏み出した象徴的なシーンであり、このFIATのアプローチは、電気自動車を誰もが利用できるようにし、持続可能エネルギーを用いた環境的なモビリティを民主化することを目指すものです。

 

まだ最初の画像が公開されているだけにとどまり、新しい”ミッキーマウス”(※あのネズミはイタリアでは"TOPOLINO")の具体的な情報は謎に包まれたままですが、続報に期待が集まっているのは間違いなし!

ただし、

日本の道交法上この規格がどう扱われるかが不明ですし、そもそもBEVの充電スポットなどインフラ整備も2023年現在(日常の肌感覚的に)進んでいる気配もあまり感じられませんので、導入の見通しは難しいのが実情でしょう。

それこそ東京ディズニーランドのパーク内で運用すれば楽しそうですけどね^-^

 

元祖500『トポリーノ Topolino』とは?

フィアット600(セイチェント)のヒットにつながるモビリティ革命の道を切り開いた初代500(チンクエチェント)こと通称「トポリーノ」は、1936年から1955年まで生産されたフィアットの歴史的名車です。自動車が一般のイタリア市民層に広がっていく発端となった象徴でもあり、さらに後年の1957年に誕生したNuova500(二代目FIAT500)はその名をシンボリックに受け継いだ後継車とされています。

 

チンク好きの間では「ご先祖さま」なんて呼ばれたりもしますが、元祖チンクエチェントは初代500のトポリーノ(Topolino)

戦前にデビューした、今では現存車も希少なクラシックカーなので、多くの人がイメージするFIAT500とはだいぶ異なる印象ですが、やはり元祖のプロトタイプですから見慣れてくると随所に似ている所が見つかりますよね。

 

トッポリーノ』という書き方もされますが、イタリア語のスペルと発音的には「トポリーノ」でしょうね。トヨタ博物館の表記が「トッポリーノ」で、わりと一般的にもGoogle的にも本流っぽいのだけれど、ボクの勝手な推測ですが昭和の頃のテレビで放映されていた「トッポ・ジージョ」というネズミのキャラクターが遠因ではないかと…(個人的な想像です笑)

この「Topo トーポ(トッポ)」はイタリア語でネズミという意味です。語尾が変化してトッポリーノとなると「小さなネズミ」とか「ハツカネズミ」といった意味合いになります。

オリジナルの車名はその排気量500ccからシンプルに『500(チンクエチェント)』なのでトッポリーノは通称。その小さなサイズ感と見た目から親しみを込めての愛称・ニックネームとは思いますが、もしかしたら鼠(ねずみ)だなんてちょっとしたブラックユーモアも暗に含めたあだ名だったのかもしれませんね。1930年台というのは歴史的にも、世界恐慌でイタリアはもちろんヨーロッパ全体も市場が冷え込み、戦争の火種もくすぶる不遇の時代ではあったので。

 

ローマの休日 トッポリーノ

以前に別のトポリーノ記事でも触れましたが、かの大女優オードリー・ヘップバーンの『ローマの休日』で乗ってる車がコイツなんですよね♪

どちらかと言うとアン王女が新聞記者と二人乗りしてたスクーターの「ベスパ Vespa」の方が印象的で、世界的にも認識されてる感はありますけど感慨深いものです。実際ボクも昔は知らなかったので、大人になってから感激したものです。

 

ローマの休日 (字幕版)

ローマの休日 (字幕版)

オードリー・ヘプバーン, グレゴリー・ペック, エディ・アルバート, ハーコート・ウィリアムズ, パオロ・カルリーニ
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↓ちなみに、ここに五右衛門が乗ってるのも大人になってから知りました 笑(ルパン三世ファンはご存知だったかな)

カリオストロ FIAT ルパン&石川五右衛門

 

航空機の設計を活かした初代チンクエチェント

さてさて、トッポリーノこと初代500の歴史に話を戻しましょう。

昔ながらのちょっとディープめなイタリア車好きの方だと知ってる人が多いと思いますが、フィアット伝説のエンジニアと謳われるダンテ・ジアコーザ(Dante Giacosa)がフィアット500の生みの親。

ダンテ・ジアコーザ トポリーノとFIAT500

「ジャコーザ方式」と呼ばれる横置きエンジンと前輪駆動のトランスミッションをはじめ、イタリアのみならず自動車史に残る偉大な発明をいくつも手がけたパイオニア中のパイオニアです。そんな歴史的な人物の出世作となったのが、まさに1936年生まれの初代500(チンクエチェント)なのです。

 

1929年の世界大恐慌は、イタリア経済にも深刻なカゲを落とし、当時のフィアット社も例外でなく販売台数はガタ落ちとなり存続が危機的状況でした。そんな渦中のフィアット社は、新しいコンセプトの超小型車の開発の必要性を感じ、くしくも直後に勃発する第一次世界大戦において革新的な発達が成される「航空機」の技術に着目します。

自動車部門よりも独創的な発想を描くことに秀でていたフィアット航空機部門に新しいフラッグシップとなる自動車開発の話を持っていくことになりました。なんとなく、1970年代の初代パンダを社外のジウジアーロに依頼したときの構図に似ていますよね。要所要所でこういった思い切りの良い決断が行える所が、フィアットの偉大たりえる所以かもしれません。

その航空機部門でアントニオ・フェッシア(戦後ランチアに移りフルヴィア等を開発)の部下として働いていた男が、ダンテ・ジャコーザ、その人だったのであります。

まず、車重の軽量化するためにフレームは前後の車軸の間だけとし、さらには航空機のように丸い穴を開けて軽量化を徹底しました。そして水冷直列4気筒のわずか569cc(車名の500の由来)のエンジンは前輪軸の前、つまり車体の前端に置きました。

そう、初代のフィアット500はフロントエンジンなんですよね。一般的なチンクエチェント像である二代目チンク(Nuova 500 =新500)はリアエンジンのRRで、今の新しいニューチンクは現代的なFRですから、エンジンのレイアウトについてだけ言えば先祖返りしたわけですね^^

しかしながら、当時の車におけるFRのレイアウトは飛行機を思わせる設計で、新しい考え方でした。そのおかげで、わずか2000mmのホイールベースで、大人が楽に乗れるキャビンを実現、しかも3215✕1275✕1377mmのボディはわずか535kgしかなかったので、たったの13馬力であるにも関わらず時速85kmも出せたというから驚きです。

 

どことなく愛嬌のある顔つきとフォルムは、たしかにトッポリーノの愛称で親しまれたのも頷けます。先述のとおり「トーポ」はネズミという意味のイタリア語。そして「トポリーノ」という言い方になると、小さめなハツカネズミやコマネズミ、子ネズミ、赤ちゃんネズミのことを指します。

そんな初代500は戦前から戦後にかけて大ヒットを生み、イタリア最初の大衆車・国民車としてイタリアのモータリゼーションに多大なる寄与をすることになりましたが、欠点とされたのは2人乗りだったこと。当時の技術でのFRレイアウトでは鼻先が長くなり、後部座席シートのスペースを確保することができず2人しか乗れなかったわけです。


(ローマの休日ではグレゴリー・ペックが立ったまま後ろに乗り込んでサンルーフから上半身を出している笑)

 

それでも不屈の男ダンテ・ジャコーザは、持ち前のアイデアで後にこの事案もクリアしてしまうわけです。戦後の1948年に発表した初代チンクエチェントのアップグレード版である500Bでは、ルーフを伸ばして4人乗りにしたワゴンタイプの「ジャルディニエラ」を追加しました。

トッポリーノ ジャルディニエラ Topolino Giardiniera

翌年にはグリルを横長に変えた最終型の500Cを出し、そちらにもジャルディニエラを設定、セダンを上回る販売数をマークしたのでした。

イタリアの市民層にも広く親しまれた初代500は1955年に生産終了。

そこからチンクエチェントの系譜が始まり、チンクの兄貴にあたる600(セイチェント)を経て、ヌオーバ500(Nuova500)こと”FIAT500”が生み出され、戦後イタリア人のアシクルマとして歴史的な名車となり、さらには現在の新型フィアット500へと…かれこれ90年にも及ぶ血脈…

いやはや凄い事です。

ヌオーヴァ・チンクエチェント Nuova 500

もうすぐEV化、ハイブリッド化も成されるでしょうし、まるで大河ドラマみたい。NHKにとは言いませんからRAI(イタリアの国営放送)あたりで制作して欲しいものです(熱望)

 

そういえば、

2017年のフィアットバースデー(FIAT公式イベント)でも、ゲストにいらしてた世界的バイオリニストの古澤巌さんが、所有のトポリーノを展示して下さってましたね♪

初代500 トポリーノ(Topolino)|フィアットバースデー2017イベント

 

初代から70年後にEVトッポリーノ爆誕!

70年も前の『トッポリーノ』のネーミングを最新型EVとして復活させるFIATのブランディング力には本当に脱帽させられます。イタリアという国のお家芸とも言えますが、あらゆる分野・文化での伝統的なブランドが強い。なかなか日本が及ばない点の一つでもあります。

2人乗りの新型トッポリーノの最高速は45km/hで原付バイクくらいのスピード。バッテリー蓄電容量は5.4kWhで約4時間でフル充電が可能。最大75kmの航続距離は次世代シティコミューターとして充分の性能と言えるでしょう。

未来的な環境志向の都市型モビリティを目指すなら、新しいトッポリーノに掲げられた「Less is more(少ない方が豊かである)」というテーマデザインは最適解のひとつと言えるのかもしれません。

ボディは、屋根付きクーペとオープンのキャンバストップの2種類が用意されているようです。超マイクロなボディサイズですが2人乗りのクルマとしての居住空間はちゃんと確保されていますし、バイクやスクーターにはない快適性があるわけです。そして何よりキュートで愛おしい♪

 

新型トッポリーノは、イタリアでは2023年内に先行発売される予定(価格未定)ということで本当にうらやましい。日本発売が実現することを切に願います。(このEVフィアット500なら絶対に購入しちゃうなぁ~)

電気自動車がお手頃な値段になっていくにはまだ年月がかかりそうですが、おそらくは月額料金のサブスク主流となると予想。いずれにしてもホントに楽しみな明るいニュースなのでした♪

 

画像出典:Stellantis

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