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ツインエアは速い?走りの楽しさと低燃費を両立した2気筒エンジンの不思議な魅力

投稿日:2022-06-08 更新日:

ツインエアは速い…!

…まあ、控えめに言い換えるとしても、遅くない! それは確かです。今どき2気筒という稀有なシリンダー数を採用したウルトラCっぷりは、流石のイタリアン・ミラクルと賞賛されるべきで、わずか0.9リッター(875cc)の小排気量エンジンから、ターボでパワーを捻り出す現代のチンクエチェントは、先進的なダウンサイジングの理念に則った未来志向のエンジンです。

以前の記事でも触れましたが、今なお世界的に愛好家の多い旧車のフィアット500(Nuova500)と同じ2気筒エンジンということで、図らずもノスタルジーな意味合いも含めてファンをはじめ好意的に受け止められました。当然ながら、最新テクノロジーを尽くした最新の2気筒エンジンです。

とはいえ、速いのか遅いのか。一般的な感覚では『ツインエア TwinAir』って、何だかよく分からない妙なイタリア車(笑)ただ単に875ccと聞けば、軽自動車に毛が生えたモノ?という印象もなくはないですが、この点に関してはハッキリ言って別モノです。めっちゃ速いです。

 

今の新型フィアット500のラインナップ(日本)では、この0.9リッターのツインエアと、1.2リッター(4気筒ファイアエンジン)の二通りを選ぶことができます。2気筒の0.9リッターという、数字上では排気量もシリンダー数も少ないツインエアですが、ご存知の通りハイパワーで速い設定となっているのはツインエアの方。(価格もTwinAirの方が高い)

データとしては、時速100キロに到達するまで秒数はツインエアが11.0秒とのことで、1.2リッターの12.9秒より勝ります。ちなみに現在はカタログ落ちした1.4リッターは10.5秒ですが、以前に1.4を5年ほど乗っていた僕の体感としては、街乗りでの短い距離での加速力はTwinAirの方に軍配です。

では、排気量としては近い軽自動車はどうかと言うと、ノンターボ車で0-100kmがおよそ30秒ほどだそうで、ターボ付きでも20秒前後くらいとのこと。動力性能も、軽自動車と比べて格段に速い。

 

ツインエアの走らせ方・運転のコツは?

そうは言っても、アクセルオンだけでスルスルと加速していく…ということは当然のようになく(苦笑)率直に言えば、クルマの運転に慣れてないビギナーさんにはやや難しい車ではあると思います。

これは、エンジン特性もあるのですが、どちらかと言えばフィアット日本仕様車の『デュアロジック dualogic』に依るところが大きいとは言えるでしょうね。一応オートマ車という触れ込みですが、ご存知の通り2ペダルながら内部的にはマニュアル車のフィアット500。機械的にクラッチ操作を行っていて、乗り味としてはまさにMT車です。いわゆる普通のオートマティック(トルコンAT=クラッチが無い)のイメージで乗り換えると違和感アリアリでしょう。

特に発進時は少しギクシャクするので、アクセルワークを体得してクルマと仲良くなることが求められます。(それを楽しいと思えるかどうかで評価が分かれる)

さて、前提が長くなりましたが、そのデュアロジックとの組み合わせがツインエアの運転をややマニアックなものとしています。TwinAirはデフォルトでは2気筒0.9リッターと非力なエンジンなので、初動の低回転域ではどうしてもトルクが細い。コンパクトカーと言っても1トンほどある現代のクルマですから、発進が少し重たいわけです。

ターボでパワーを紡ぎ出すには、ある程度まで回してしまえば過給が効いてくるので、早め早めに加速して一旦走り始めてしまえば、グングンと力強く走ってくれます。ただ、デュアロジックの初動でスタートダッシュをかますのは中々テクニカルな為、信号待ちからのヨーイドンは少し苦手…

ベタ踏みすると変速ショックが大きくなり、ガックン必至であります。

発進をいかにスムーズに行うか?という点で、多くのチンク乗りの方が使っているがMTモードです。シフトアップのタイミングを運転しているドライバー自身が指示して、あくまでデュアロジックはクラッチ操作のアシストに徹してもらう… まさに人馬一体!

2速・3速で引っ張りながら4000回転も回せば、あっという間に法定速度を超えていきます。

ただ、先述の通り、立ち上がりのターボが効き始める前の低速域は脆弱ですので、ギリギリの低い回転数でアプローチするよりは多少は回し気味なくらい踏んでいく方が良いのかな、と。実際、1000~1500回転あたりの低回転域のガクガク感はちょっと居心地が悪いですし。

TwinAirが回してナンボなのは間違いなく、どちらかと言えば高速巡航よりも加速感。過給圧かかってる音が聞こえ始めるくらいのうひょー て感じなトルクの盛り上がり方が最高!

しかも法定速度の範囲で楽しいからイイ。

ABARTHほどの重低音ではないものの、かなりイイ音(けっこうでかい)ゆえ、すんごい事になってるよーな錯覚が起こりますが、いたってフツーの速度です(笑)

 

とはいえ、そんな走りをしていれば、過給圧がガンガン掛かって燃費はもちろん悪化します。燃費重視なら、2000回転前後でストン・ストンとつないでいけば、15~16km/Lくらいは渋滞のない街乗りならラクに達成してくれるので、エコの観点でも優秀でしょう。

ぴゃーーー と加速させておいて、スムーズに2000回転キープ&惰性走行で燃費を稼ぐ方が現代版2気筒チンクのキャラには合ってる気がします。

もちろんイタリア車らしく、エンジンぶん回してキビキビ走るのも個人的には奨励したいですけどね!

 

ツインエアMT|5速マニュアル

MTチンクの場合、メーター内に表示されるシフトインジケーターに従って、積極的にシフトアップしていけば、エンジン特性にマッチした燃費性能を発揮してくれます。

ただ、このシフトアップインジケーター、わりと早めの回転数でも「SHIFT UP」を指示してくるので、ある程度は平坦で流れている道路状況でもないと回転数落ちでややノッキング気味になるので、ちょっと低速ギアで引っ張りながらの方が乗り心地はいいですね。加速感が気持ちいいし。

ちなみに、僕個人としては、ツインエアを最も気持ちよく走らせるなら、MTがベストと思っています。

シンプルに、低速・低回転域の非力さというツインエアの2気筒ならではの弱点をシフトワークで補えるので、初速からスムーズに加速していけるし、マニュアル操作が上手になって随所で適切なクラッチミートが決まるようになるほどに楽しい。ツボにハマったときの走りの快感が味わえるのは、MT最大の悦びだなぁ、と思います。そして、たぶん、それこそがイタリア車。イタリアン・コンパクトの魅力♪

 

■ツインエアには不思議な魅力がある!

乗り心地は、僕がが以前乗っていた『1.4 LOUNGE』に比べると軽やか。最初はバイクっぽい加速感とも思いましたが、安っぽいわけではなく味というかキャラがある。あのパタパタ感を、鼓動と捉えるか、振動と捉えるかでクルマの評価は分かれるでしょうけど、わりとクセになる人が多いらしい(笑)

 

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