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トレピウーノ(Trepiuno)はフィアット500のお母さん!新型チンクエチェント誕生前夜のコンセプトカー

投稿日:2018-07-26 更新日:

 

🔻トレピウーノの貴重な動画資料🔻


[ジュネーブモーターショー]

 

FIAT『トレピウーノ Trepiùno』誕生秘話

トレピウーノ FIAT Trepiuno|フィアット500の母体となったコンセプトカー2004

コンセプトカー「Trepiùno」から世界的大ヒットへ

2004年3月、スイスのジュネーブモーターショー。
フィアットのブースに、ひときわ注目を集める小さなコンセプトカーが登場しました。
その名はTrepiùno(トレピウーノ)

このとき初めてデザインが公開された、この車体は
2007年に発表された新型フィアット500(チンクエチェント)の基となったコンセプトモデルです。

 

一目で往年の名車「Nuova 500」の現代的解釈であることがわかるデザインは、専門家だけでなく一般来場者からも大きな反響を呼びました。当時、フォルクスワーゲン新型ビートルやBMW MINIが世界的に成功を収めていた時代。小型車を得意とするフィアットが、この流れを無視するはずはありませんでした。

Trepiùnoは、まさに「次世代の500」を予感させるアンテナモデルとして、大きな期待を集めたのです。生産化への道のりTrepiùnoの反響は想像以上だったと言えるでしょう。

トレピウーノ FIAT Trepiuno|フィアット500の母体となったコンセプトカー2004

デザインはフィアット・チェントロ・スティーレ(Fiat Stile Centro)によるもの。
100%フィアット社内で出掛けています。

ロベルト・ジョリート氏(Roberto Giolito)のスケッチを採用して練られたデザインは、同コンセプトカーのオリジナルである2代目FIAT500こと、Nuova500(ヌオーバ・チンクエチェント)に似たレトロな愛らしさを体現したプロトタイプです。

トレピウーノ FIAT Trepiuno|ロベルト・ジョリートによるデザイン

 

トレピウーノ』という名前の意味は?

イタリア語で「3足す1(3+1)」の意味です。

イタリア語の「トレ・ピゥ・ウーノ tre più uno」を縮めた言葉です。
(というか、ネイティブな発音では母音は前後でくっつくので口語に近い繋がった言い方)

トレピウーノ FIAT Trepiuno|フィアット500の母体となったコンセプトカー2004

ほとんどツーシーターの狭い車内において、助手席のレッグスペースの部品をコンパクト化し、薄いシートを採用。

後部座席を設けられるレベルに助手席を前進させて3席目を確保(3 tre)。運転席の後ろは補助席のような小さめな席となる(+1 piú uno)

トレピウーノ FIAT Trepiuno|フィアット500の母体となったコンセプトカー2004

ダッシュボードの助手席側下部を前方に押し込むことで、3.3mという短い全長の中に3人+1人というレイアウトを可能にしたトレピウーノ。これをコンセプトに開発された新型500は、外観だけでなくインテリアも基本的なデザインは踏襲されてると言えるでしょう。(※trepiùnoはコンセプトカーなのでモダンタッチな造形となっている)

イタリア語で「3+1」という車名が示す通り、2人乗りをベースとしたのは、当時イタリアでヒットしていたメルセデスの「Smart スマート」の存在があったと言われます(後述)。2代目チンク Nuova500をモダナイズしただけではなく、コンパクトな車内に、乗車する人数に合わせて空間を自在に変えられるフレキシブルさ、ユーティリティーの追求こそがコンセプトでした。

 

トレピウーノは500のお母さん!
"Fiat Trepiùno, la mamma della 500"

トレピウーノ FIAT Trepiuno|フィアット500の母体となったコンセプトカー2004

トレピウーノ発表当初はメカニズムの詳細は発表されていなかったそうですが、最終的にトレピウーノは写真撮影用のモックアップモデルと実走可能なプロトタイプの2台が作られました。実走モデルには54馬力の1100ccエンジンを搭載していたという話。(あるいは当時パンダやプントに搭載されていた1300ccマルチジェット・ディーゼルエンジンを積んでいたという話も)

横置きのフロントエンジン、前輪駆動のFF車であることも当然ニューチンクと同じです。デザインはロベルト・ジョリート氏(新型ムルティプラのデザイナーでもあります)。先述の通り、Trepiùnoは、その再構成可能なインテリア「3 + 1」構成に着目されています。

 

先述の通り、レピウーノが初めてお披露目されたのは、2004年3月4日から14日まで開かれた「第74回ジュネーブモーターショー」。開発プロジェクトはその1年前から開始されていたそうなので、2003年。自動車雑誌Tipoの取材によると、フィアット・ランチア製品開発ディレクターのウンベルト・ロドリゲス氏がインタビューにこう答えています。

「戦後この会社が築いてきた ”フィアットらしさ” とは何か? その追求から始めたのです」

戦後のイタリアのクルマ事情

 

辿り着いた結論は、「小さなボディに広い室内」という、長年フィアット社が得意としてきた小型車の文化であり、そのモチーフとして帰結したのがFIATのアイデンティティとも言えるFIAT500(Nuova 500)です。しかし、ただのリメイク的な、ノスタルジーに依存しただけの現代版を製造するのではなく、ただ”可愛い”だけのクルマではない、現代的な”実用性”との両立を目指しています。

これは、旧チンクエチェント(Nuova 500)が、戦後復興の最中にあった当時のイタリアの人々のライフスタイルに寄り添う形で、限られた厳しい条件下において、試行錯誤の末に捻り出されたデザインやスペックであったという構図に似ています。更にさかのぼれば、チンクのご先祖様である初代500(Topolino トポリーノ)の誕生から受け継がれるFIATの伝統的な系譜です。

 

トレピウーノは「未来への復帰(ritorno al futuro)」がジュネーブモーターショーでテーマとして掲げられました。このプロトタイプは、現代的な方法で、イタリアで最初の大衆的なモータリゼーションを起こした車となったNuova500の再解釈です。

トレピウーノ FIAT Trepiuno|フィアット500の母体となったコンセプトカー2004

1957年に登場した大衆車Nuova500。かのダンテ・ジャコーザ(Dante Giacosa)によって手掛けられたイタリア稀代の名車は、18年間にわたり400万台以上を販売した、イタリア初の国民車です。もしニューチンクの原型となったトレピウーノが、そのデザインを模しただけのリバイバル版であったなら、新型500がこんなにヒットすることは無かったと思います。

ただの、懐かしの「フィアット500」、チンクエチェントの「復刻バージョン」ではないデザインの完成度。フィアットの過去の栄光を引っ張り出してきたような無理やり感がないのは、やはりFIATが培ってきた理念を、冷静に、現代に投影しているから。

 

トレピウーノのビジョンと装備

当時のイタリアの車事情の背景として、スマート(Smart fo two)のヒットがあり、小型車シェアNo.1に返り咲くため、競合相手のスマートに負けないコンセプト作りを模索。マーケットを調査し、Smartの座席が2つしかない点のデメリットに気付き、顧客ニーズがそれ以上の座席数にあると結論付けて開発をスタートさせたという。

ロベルト・ジョリートは、「2人乗りのスマートを所有する多くのオーナーは、座席の柔軟性を求めているだろう。そのニーズは、フィアットTrepiunoのコンセプトでサードシートのオプションに反映されている」と考えたそうです。

 

トレピウーノ FIAT Trepiuno|フィアット500の母体となったコンセプトカー2004

後部はリアウィンドウとルーフスポイラーを一体化。

「ハッチバック」のコンセプトを再提案。デザイナーは新車の主なテーマであるシンプルさを失うことなく、細心の注意と注意を払ったとのこと。

トレピウーノ FIAT Trepiuno|フィアット500の母体となったコンセプトカー2004

全長とホイールベースが短く、ドアノブやバンパー等のデザインが異なる

その他は、2007年に発表されることとなる新型チンクエチェントに近いスタイリング。

トレピウーノ FIAT Trepiuno|フィアット500の母体となったコンセプトカー2004

トレピウーノの全長は3300mm。
先代のチンクエチェントは2700mm。

つまり、旧チンクより300mm長くなりましたがコンパクト。

最終的にニューフィアット500は全長3,545mmとなっているので、トレピウーノよりも25センチほど全長が長くなり、もうひとまわり大きくなりました。

 

日本の軽自動車の規格が3400mm×1480mm×2000mmなので、トレピウーノは軽自動車より小さいわけですね。そう捉えると、ほぼツーシーターで、Smart(スマート)に寄せたコンパクトカーを目指し、なおかつ「3+1(tre più uno )」の空間性を模索した経緯も理解できますよね。

トレピウーノ FIAT Trepiuno|フィアット500の母体となったコンセプトカー2004

 

「3+1」のシートを開発するにあたりTrepiùno(トレピウノ)では社外のエンジニアと協力してシートパッケージを模索、シートの厚さを最小限に抑え、薄いのに硬くて丈夫なポリウレタンフレームで柔軟なポリウレタンをサンドするアイデアを実現。

後部座席の背もたれは、内向きおよび上向きに折り畳むことが可能で、ラゲッジスペースを拡張することができる。

 

トレピウーノ FIAT Trepiuno|フィアット500の母体となったコンセプトカー2004

repiùnoのダッシュボードには2つの収納ドロワーがある。

夜間にキャビンを照らすために発光ダイオードを使用するインテリア照明と、ダッシュボードTFT / LCD画面と通信するテールライトなどを想定。

 

インフォテイメント制御システム
Trepiùnoのインストルメントパネルは、ジョンソン・コントロールズが開発した革新的なインテグレーテッドコントロールとインフォテインメントシステムを搭載。
トレピウーノ FIAT Trepiuno|フィアット500の母体となったコンセプトカー2004

ニューチンクエチェントの生産へ

その後、イギリス・バーミンガムショーや欧州各地のモーターショーでも大絶賛され、フィアットは本格的に生産化を検討し始めます。

2004年10月、フィアットは正式に生産計画を発表。

ベース車両は現行パンダとし、プラットフォームは欧州フォードの新型Kaにも供給されることが決定しました。

生産はパンダを製造するポーランド工場が担当することになります。当初は「500日後の発売」を目標にカウントダウンが行われていましたが、市場の期待が高まる中、予定を前倒し。2007年7月4日——初代FIAT 500の誕生日に合わせて、待望の新型500が正式デビュー。ご存じの通り、世界的に大成功を収めました。

世界的な成功を収めた新しいフィアット500は、イタリアの「made in Italy」の価値を再び世界に示すことに成功したモデルと言っても過言ではないでしょう。新型フィアット500はイタリア国外での売上高が好調で、約65%が海外市場だそうです。世界100カ国以上で販売。デビューから10年も経たない内に、累計販売台数は130万台を超えました。

欧州カー・オブ・ザ・イヤーなど数々の賞も受賞し、「Made in Italy」の象徴として再び世界にその名を轟かせました。

 

そして何より、みんなに愛されてますよね♥

 

画像出典:Fiat official

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