乗り心地や騒音が問題だった、そこで生まれたのが・・・
フィアット500チンクの問題点、それは「乗り心地」と「騒音(エンジン音)」
最高速度95キロを出すには、アクセルを床に付くくらい踏み込む必要がありました。そして日常で使うスピードを出すにもアクセルをそれなりに踏み込まなくてはいけなく、かなりの騒音が発生していました。
軽自動車に乗ったことがある方なら分かると思いますが、坂道や高速道路でスピードを出そうとしてアクセルを目いっぱい踏み込むと、エンジンから「グオワァーっ!」とすごい音がするハズです。あれに近い感じですね。
また乗り心地もキツイものがありました。フィアット500チンクは安価で製造することをコンセプトとしていたので、乗り心地も良くありませんでした。それに加えて、さきほど紹介した騒音のようなエンジン音も発生していたので快適性が問題となっていたのです。
それらの問題を解消するために生まれたのがキャンバストップ。
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キャンバストップとは?
今や絶滅寸前の装備がキャンバストップ。そもそもキャンバストップとはなにか?わかりやすく有り体に言ってしまえば布製のルーフ(屋根)です。サンルーフのひとつの形。
ガラスルーフのように硬い素材で覆われていなくて、そこに布製キャンバスを被せているタイプ。ソフトな素材を上から被せているようなかんじですね。なのでソフトトップとも言うようですが厳密にはいろいろ定義があるらしい。
そういう意味では、コンバーチブルでない方のフィアット500のサンルーフは開放されているルーフ部分だけをキャンバスでカバーしているから、キャンバストップ。つまりキャビン全体を覆うのがソフトトップとするなら、キャンバストップはあくまでルーフだけがキャンバスのものを指す模様。境界線は微妙ではあるけれど。
歴史的にもキャンバストップは古い装備。フィアット500が採用しているのは有名だけど、日本でもホンダのN360や日産マーチにもあったし、フェスティバのキャンバストップも流行りました。
軽自動車やコンパクトカーも登場して、キャンバストップは装備としても大ヒット。
ヒットの理由は、単純に複雑な構造のサンルーフよりも安いということもあるが、キャンバスならではの風合いが魅力的だったのが一番大きい。閉めたときの頭に乗っけている感だけでなく、開けたときの畳んだ状態が外から丸見えというのも逆に可愛かった。
その後はキャンバストップは減っていきますが、単純に流行が過ぎ去ったというのもあるし、耐久性・安全性に欠けるというのもあるという。耐候性は確保されているといっても経年劣化で汚れてくるのは避けられず、いずれは張り替えが必要となる消耗品ではあるので手間とコストがかかるというデメリットもありました。イタズラで切り裂かれたり、セキュリティ上の理由もあげられるかもしれません。
ちなみに、キャンバス(英語: canvas)とは、帆布のことで、油絵具やアクリル絵具を用いて描かれる支持体に使用される。 キャンバスは主に亜麻の繊維から作られるカンヴァス、カンバス、帆布、画布とも言われます。
しばしばキャンパス(英: campus)と言い間違えている方もいらっしゃるけれど、こちらは大学などで○○キャンパスとかキャンパス・ライフとか使われる言葉で、「敷地」「フィールド」のことを指します。
コンバーチブル(カブリオレ)とは
カブリオレ(Cabriolet)はフランス語の言葉で、元々は屋根が開閉できる幌馬車を指す言葉でした。なお、カブリオレはドイツ語ではカブリオ(KCabriolett)となります。
コンバーチブル(convertible)は「変えられる」や「改造できる」という意味の英語から来ています。屋根のある状態から屋根無しに変えられることからコンバーチブルと呼ばれるようになりました。
ドイツ車やフランス車のオープンカーがカブリオレ。アメ車や英国車がコンバーチブルと呼ばれると考えてください。ちなみに、古い英国車には天井がないことを意味するドロップヘッド(Drophead)という名称が与えられていた車もあります。最近はドロップヘッドという名称は使われていません。
カブリオレとコンバーチブルには構造や装備に大きな違いはなく、どこの国のメーカーなのかで名称が違うと思っていいでしょう。同じ車でも販売する地域によってカブリオレとコンバーチブルの名称を使い分けている、BMWのようなメーカーもあります。
フィアット500C(チンクエチェント・シー)とは
コンバーチブル・タイプのオープンカーモデルで、500Cの「C」は ”Cabriolet カブリオレ” の「C」。FIAT500といえば解放的なサンルーフとキャンバストップは代名詞のようなもの。500Cのソフトトップは電動式でリアまで開閉が可能。
通常版モデルの500の違って「屋根が開くこと」が500Cの特徴です。その違いこそ500Cの魅力であり、500とは違うキャラクターとしてうまく棲み分けられています。
クローズドの500が通常版で、500Cは特別車種のようにも感じられますが、元々のモチーフとなった旧車のチンクエチェント(2代目)は先述の通り、リアエンジンからの騒音と振動を逃すためにキャンパストップが採用されました。スポーツモデルでクローズドの”ベルリーナ Berlina”やアバルトもありますが、サンルーフのないモデルの方が昔の500ではスペシャリティ車だったのです。
ルパン三世「カリオストロの城」の劇中で、黄色いフィアット500の屋根から次元大介が身を乗り出し拳銃を構えるシーンを思い浮かべる方も多いと思います。
そう考えると、500Cは旧チンクのイメージにより近いのかもしれませんね。日本市場にも500と共にラインナップされていて、少し販売価格は高めの設定とはなるもののオープンモデルとして手を出せる範囲。
固定式ガラスルーフのサンルーフ
カブリオレの500Cのほかにも、フィアット500にはサンルーフの付いたモデル「Lounge ラウンジ」はありますがガラスルーフなので開きません(※かつては電動サンルーフをオプションで設置することもできました)
サンシェードを開けばさらに車内が明るくなり解放的なドライブが楽しめますが、けっこう直射日光だと暑くて、夏場は対策したほうがいいのがデメリット。
フィアット500の固定式ガラスルーフは素敵なのだけど、夏場の直射日光を浴び続けているとやはり車内は非常に暑くなります。ちょっとした温室状態。なかなかエアコンも効きにくくなります。ロール巻取り式の日除けシェードが付いてますが、うっすらメッシュ状になっているだけなので陽射しは通しますから閉めたところであまり効果は期待できないですね(^_^;
断熱フィルムや専用の遮断タイプ・サンシェードも売られています。
サイズを測って汎用品を流用したり自作するのもあり。UVカットが施されたガラスではあるものの、スモークをかけるFIATオーナーさんもいます。ホームセンターなどでも買える市販のアルミロールマットをカットして、ガラスルーフとサンシェードの間に挟むだけの簡単施工。サイズは約86センチ×53センチほど。もちろん遮光効果はあるけど、車内は少し暗くなるのでガラスルーフの良さとメリットは半減してしまうかもしれませんね。
でも、エアコンの効きが良くなれば真夏のフィアット500車内環境も改善されて快適ドライブを満喫できることでしょう。