イタリア人の足、つまり『アシクルマ』は、戦後はたしかにフィアット500(旧チンクエチェント)でしたが、その後の20世紀の終盤を担ったのはパンダ。500と同じくらい日本でも有名なオンボロ系イタリア車『フィアット・パンダ FIAT PANDA』でしょう。
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現代のイタリアでは、メルセデスのSmartも人気のようですが、新しいチンクエチェントはもちろん、ニューパンダを目にすることが多い。というか、どちらかと言うと大衆車としての地位を確立してるのはパンダとも言えるかもしれません。レンタカーも安い価格帯はパンダだったりするし、商用車としても活躍の場が多いのもパンダ。公共サービス車としても採用されることが多い(500よりコストパフォーマンスが良い)
旧車のパンダ時代から、イタリア半島を走る。多くのパンダは洗車もされてないような、雑巾みたいにボロボロに酷使されまくりな程よいクタビレ感で街で見かけたものです。逆に言えば、維持費の安さと丈夫さで市民の信頼を得ていた証なのでしょう。
新型パンダのパトカーもあるし、イタリアの郵便局にあたる「ポステ・イタリアーネ Poste Italiane」や旧電話局の「テレコム・イタリア」でも新旧パンダが採用され続けたという経緯もある。
パンダは、よく言う「イタリア人の下駄(ゲタ)」として、初代のトッポリーノから始まり、チンクエチェント、FIAT126と続く国民的なアシクルマとして広く受け入れられた歴史を持つイタリア車です。
1970年代、経営的な面も含めて苦境にあった当時のフィアット社は、現代においても稀代の名車と謳われるフィアット500(旧チンクエチェント)からバトンタッチした126の次期、新しい系譜を担う次代のベーシックカーをどうするのか? という難題を抱えていたわけですが、その時、ずっと自社設計で行ってきたコンパクトカーの開発を初めてゼロから外部に依頼(丸投げ?)する決断をした。
ジョルジョット・ジウジアーロ
ですね!彼の手によって、1979年にジウジアーロデザインの名車『フィアット パンダ FIAT PANDA』が誕生したわけですが、歴史的な詳しいお話は、とてもじゃないけど尺に収まりきらないのでまた別の記事にて…!
角ばった単純なボディパネルと、平面的なガラス・ウィンドウ。徹底的なコストダウンから採用された設計なれど、安っぽさをまったく感じさせないデザインの妙…。それでいて安い大衆車であることを隠したりゴマかすような姑息な虚栄心は感じさせず、いっそ堂々と主張しているので、気兼ねなくボロボロになるまで一生一緒にいられる。
でもプライドは失わないんだよなぁ…。すごいクルマだ…。
自家用車・マイカーは大衆的、一般的になって誰もが便利さを手にしたけど、かつての馬のように富の象徴(※これは高級車という意味ではなく一般レベルでの話)でもあるのは現代でも変わらない側面で、その両方の欲求を満たすクルマって今はなかなか無いと思う。そこが自動車の原点な気はしますが。
知人のイタリアンレストランでは、ハーブの苗を日光浴させる置き場としても一役買ってたり(笑)
オンボロなわりに安くはないし維持費もかかる輸入車。パンダもそうだし、新旧チンクエチェントもそうだけど、足クルマとしてそこそこ雑に乗れて、ちょこっとだけプライドも持てて、それでいて調度品のようにピカピカにしておく必要もない。
遊び場にしてもいいし、商売に使ってもいい。
個人的には、そういう在り方のイタリア的な車が好きですな。
うちのチンクイーノにも仕事の手伝いはよくさせてる。自分の部品代くらいは稼ぎなさいヨって(笑)
ちなみに、2003年のジュネーブモーターショーで最初にNewパンダがお披露目されたときの名前は「ジンゴ」だったそうで、半年後のフランクフルト・ショーで「パンダ」となったらしい。これは仏ルノーのトゥインゴに音の響きが似ているから、という理由だったとのことですが、今では「パンダ」にして良かったね!と思いますよね。
昔から旧パンダを知ってる人からすれば、やはり再デビューしたニューチンク同様に『え?ぜんぜん違うじゃん?』という意見も少なからず散見されたものの、まあ、なんだかんだ納得されて受け入れられていくものです。
個人的にはマイナーチェンジで大幅にデザイン変更される前の方が、より「らしい」風合いが配されていたと思いますが(それは新型チンクエチェントも同様)。その辺も、また詳しいお話は別の記事にて書く予定です。
日本のフィアット公式でも、イベントでお仕事してました♪
2013年に葛西臨海公園で行われたフィアットバースデーですね。新型パンダも一緒にお祝いに参加していました。
浜名湖の渚園で毎年開催されている『パンダリーノ Pandarino』もすっかりパンダ乗りの市民権を得たイベントとなっていますし、現代版パンダのこれからのヒストリーもまた楽しみです。
もちろん旧車のオリジナル・パンダもまだまだ元気!
って、ダンボール箱でサンシェード…(笑)
これはイタリアの路上だけど、古いんだからもうちょっと労ってあげて…!と思わなくもないですが、絶妙に似合ってしまいますよね(笑)イタリアでも減ってはきてるけど、いまだ現役感のある労働車・パンダです。
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