チンクエチェントという名前の、
数字の500を表すイタリア語が車名となった、わずか500ccの戦後のイタリア国民車。―それが、
『FIAT500 フィアット・チンクエチェント』
フィアットという社名を聞いて初めて「あぁ、あれがFIATか~」と思う方も少なくないでしょうし、それこそ「ルパン三世の愛車」とか「カリオストロの黄色い車」と言われてピンと来る人も多いのも、ここ日本のお国柄でしょうか。
宮崎駿ファンやアニメ好きに限らず、実は沢山の人々に認知されているフィアット500なのです♪
FIATオーナーやイタ車の愛好家は、親しみを込めて
「旧チンク」とか「オールド・チンク」「クラシック・チンク」と呼びますが、旧車のフィアット500は、もうクラシックカー・ヒストリックカーの部類に入るクルマですね。2018年現在、最初の生産開始から半世紀も経つ50年前のイタリア車なのですから。
ちなみにチンクという愛称は日本ならではで、イタリア人は「チンクイーノ」と呼んだりします。
1957年に誕生した丸餅型のチンクエチェントは、最初の「Prima Serie プリマ・セリエ」ことファースト・シリーズから始まり、「Normale ノルマーレ」「500D ディ」と改良され、1965年以降の後期型「500F エフ」へと引き継がれます。
この写真のチンクは、1960年から1965年まで製造されたDタイプ「500D」ですね。
一番分かりやすい判別ポイントは「ドアが前開き」であること。取っ手が前にあり、後ろヒンジとなっています。もし半ドアなどで走行中に開こうものなら危険なわけで、安全上の理由からも「500F」以降は前ヒンジ式に変更されています。
当時イタリアで放送されていた500DのCM
ちなみに、一つ上の白黒写真で美女たちがサンルーフから身を乗り出してるチンクエチェントが最初期型の「Prima Serie プリマ・セリエ」です。
1957年から1960年の三年間と製造期間が短かったこと(そして最初はあまり売れなかった)、もちろん年式・設計の古さからも現存する車体はひじょうに少ない希少種です。詳細は上記リンクにまとめました。
外見の違いだけを簡単に言えば、500Dと同じく前開きドアであることと、ヘッドライト下のウィンカーランプが付いていません。
そして『ザ・チンクエチェント』と称してもいいでしょう。
フィアット500らしいFIAT500といえば、このFタイプ「500F」だと思います。
1965年から1972年までの7年にかけて製造されたFタイプは、500のマイナーチェンジモデルとして最長年数ですし、いわゆる「後期型」なので性能面でも充実しています。70年代前後はチンクエチェントの最盛期であったと言えます。
僕たちが思い浮かべるフィアット500像は、この顔つき。
エンブレムであったり、バンパー形状であったり… あの「カリオストロの城」でルパンと次元が駆け回っていたチンクこそ「500F」がモデルと言われているからです。(※明言はされていません)
ルパン三世とチンクエチェントについては他の記事でも詳しく書きましたが、ルパン三世のTV第1シリーズ(ファースト・ルパン)で初登場したのが1972年です。この時、フィアット500には後期型に2つのタイプが加わっています。
1968年から1972年の4年間、先の「500F」と併売されたのが「500L」です。
500Lの「L」は「Lusso ルッソ」で、イタリア語でデラックスとかラグジュアリーという意味。500Fの「豪華版」として登場したモデルです。外観ではバンパーオーバーライダーを備え、デザインのバランスを取るようにシンプルな新エンブレムに変更。
このモデルのみ、メーターが四角い大型のタイプを備えています。
最終型のRタイプ「500R」は、1972年から1975年まで製造。
チンクエチェントの後継機となる「フィアット126」と併売される形で販売された「500R」の「R」が意味するのは「Rivised(改訂版)」で、基本設計は500Fに準じつつ排気量は594ccに拡大、外観は新エンブレムを取り付けた以外に変更点はありません。
さて、どうにかフィアット500についてまとめてみたものの、当然ながらほんの触り程度です。とてもじゃないけど、一回の記事でまとめきれるものではないので、続きます! to be continued
ルパン三世 ©モンキー・パンチ/TMS・NTV