ルパン三世のアニメシリーズで初のOVA作品となった『ルパン三世 風魔一族の陰謀』は、1987年に発表されました。劇場公開もされていることから映画作品としての認識もあります。そのわりに『カリオストロの城』や『ルパンVS複製人間』といった有名作に比べて意外と認知度が低いのは、メインキャストの声優陣が一新されたことから黒歴史的に扱われているからかもしれません。
この『風魔一族の陰謀』でも、ルパン一味は
FIAT500でド派手にカーチェイスしてます!
『風魔一族の陰謀』のキャラデザは、大塚康生氏が関わっている作品なのでいわゆる”カリオストロ系”。
ルパン三世の着こなすジャケットも赤ではなく緑ジャケ(青ジャケ)の方です。カリオストロを彷彿とさせるカーチェイスがある『旧ルパン』の流れを汲むこともあってか、峰不二子ちゃんもややクラシックデザインなのかな。
ちなみに宮崎駿氏は参加していないのでビジュアル的にはカリオストロとはけっこう違う。
そして『風魔一族の陰謀』ではキャストが総入れ替えされています。それまでと違う『ルパン三世』を作りたいという意図や予算の問題もあったと言われますがなかなかの珍事です。
一新されたメンバーは・・
●ルパン三世/古川登志夫
●次元大介/銀河万丈
●峰不二子/小山茉美
●石川五ェ門/塩沢兼人
●銭形警部/加藤精三
当時のルパンは山田康雄さん時代。
若手中心に起用されたようですが、今となっては錚々たる顔ぶれの声優陣なので歴史を感じるものです。銭形のとっつぁんが丸坊主頭だったりと相違点もけっこうあり、カリオストロとはまた一味ちがった名作なのでぜひオススメしたい!
宮崎駿監督の映画「ルパン三世 カリオストロの城」
作中でルパンと次元と五右衛門が黄色いチンクチェントに札束と一緒にぎゅうぎゅうに乗り込んでる冒頭シーンは有名ですし、フィアット500=ルパンというイメージを日本人誰しもが共有するところとしたキッカケは、間違いなくカリオストロでしょう。
ただ、元々はルパン三世のTV第一シリーズの中盤からフィアット500が登場してるのはあまり知られてなかったりもします。古い作品ですし、金曜ロードショーのように再放送される枠もありませんからね。
作画監督であった大塚康生氏の当時の愛車であったことにちなんで、アニメ製作(後半)に携わっていた宮崎駿氏が採用したという経緯・エピソードは今では有名だと思います。
ルパンとのコラボレーションは昔から多くて、ガソリンスタンドのESSOから最近のマクドナルドに至るまで黄色いチンクエチェントの出番はかなりヘビロテ(笑)
原作漫画の「ルパン三世」には、FIAT500が登場することはありませんし、モンキー・パンチ氏が乗っていたわけでもない(おそらく)です。
ルパン三世の原作者モンキー・パンチ氏は2019年4月11日にお亡くなりになっています。心よりご冥福をお祈り致します。
この際、ルパンの愛車の一つと知られる旧チンクことフィアット500のイタリア自動車メーカー、日本法人であるFCA Japan(フィアット・クライスラー・オートモービルズ・ジャパン)でも公式ツイッターにて「ルパン三世」原作者であるモンキー・パンチ氏への感謝が綴られました。
『ルパン三世』の良き相棒として、FIAT 500をこよなく愛してくださったモンキー・パンチ先生。本当にありがとうございました。 心よりご冥福をお祈り申し上げます」
日本を飛び越え世界中で愛されるルパン三世との結びつきが強い自動車会社がオフィシャルでコメントを出すのは自然な流れだと思います。
2007年にデビューした新型フィアット500は、翌年2008年に日本での販売もスタートしましたが、その発表会にはゲストとしてルパン三世の原作者であるモンキー・パンチ氏も呼ばれています。
当時のフィアット・オートモビルズのロレンツォ・システィーノCEOも
「子供の頃からファンでした!」
「お会いできて光栄。ルパンは面白みのある男の象徴」
と感激の様子だったそう。
会場ではアニメ「ルパン三世 GREEN VS RED」の予告映像が流れ、お馴染みの黄色い旧車のチンクエチェントが走るシーンが流されます。
映像が一端終わり、システィーノCEOが「なぜ新型を登場させていただけなかったのでしょう?」と質問して、モンキー・パンチ氏が「ルパンは泥棒なので、もう盗んでいるかも」とコメント。
そしてスクリーンには新型フィアット500のアニメカットが登場するという粋なサプライズの一幕もありました。
東京で開催されるニューフィアット500発表の噂を聞きつけたルパン三世は、すでに新しいFiat500を手に入れて華麗に乗り込み逃走していたのでした!
原作 モンキー・パンチ(C)東宝・TMS